人工授精

人工授精とは

一般不妊治療の一つで、精子を人工的に子宮腔内に注入する方法です。夫の精子を妻の子宮に注入する「配偶者間人工授精(AIH)」と、夫以外の精子の提供を受けて注入する「非配偶者間人工授精(AID)」の2種類があります。

「配偶者間人工授精(AIH)」と「非配偶者間人工授精(AID)」は授精の方法自体は同じですが、後者は匿名の第三者がボランティアとして提供した精子を用いるため、6カ月間は精子を凍結し、その間HIVをはじめとする感染症がないことを再チェックしてからAIDに用います。なお生まれてくる子どもと夫の間に遺伝的なつながりはありませんが、戸籍上は実子となります。

生殖補助医療(ART)の普及により、「非配偶者間人工授精(AID)」は、無精子症など体外受精や顕微授精でも妊娠できない場合に限って行われるようになりました。選択の際には夫婦でよく話し合い、慎重を期すべきです。

矢崎 智子先生

どういう場合におこなうか

人工授精の対象となるのは、乏精子症や精子無力症など精液の量・濃度・運動率などが不良の場合、頸管粘液分泌不全など精子が子宮に侵入しにくい場合、ペニスや膣の形に問題がある場合、逆行性射精、勃起障害(ED)や射精障害など性機能障害がある場合、原因不明の機能性不妊などの場合です。

どのように行うか

まず、基礎体温表、超音波検査、尿中LH検査などから排卵直前の時期を総合的に予測します。排卵は、自然にまかせる場合もありますが、確実にするためしばしば排卵誘発剤を投与します。夫は事前に4日間程度の禁欲期間が必要です。
当日、は採取した精液をそのまましばらくおいて液化した後使用することもありますが、培養液で洗浄、濃縮するなどして調整し、良好な精子を回収して、妻の子宮腔に注射器で注入する方法をとることもあります。15~30分ほど安静にし、異常がなければ終了です。こうした一般的な方法ではなく、子宮鏡を用いて卵管内に直接精子を注入する子宮鏡下卵管内人工授精(HIT)が行われる場合もあります。
この工程からもお分かりになる通り「人工」と名は付いていますが、より自然妊娠に近いプロセスの治療法なのです。

矢崎 智子先生

効果と費用

1回の人工授精で妊娠する率は10%前後で、それほど高くはありません。この方法で妊娠する人は5~6回目くらいまでに成功していますので、通常は6~7回くらいを上限として考えます。
また、費用は基本的に自費診療となりますが、1~3万円程度の施設が多いようです。